いらっしゃいませ、と顔を上げて意外な顔に停止した
大抵偵察にいったり引きずり込んだりするのは自分なのに、目の前に立っているのは紛れもなくファーストキッチンだ
そこで漸く来た理由に思い当たる

「ついにファーストキッチンもコアラの魅力に気づいたんだな!」

「お前って可哀想」

一蹴されて、小馬鹿にした顔のままコーヒーのMサイズを頼まれて
物凄くムカついたのにSを出さないでちゃんとMを出してやった自分は本当に偉いとロッテリアは思った





「変わんないな」

他の店員―馬鹿なロッテリアに言わせればメイトだったか―にレジを任せて向かいに座ったロッテリアに
顎をしゃくってファーストキッチンはメニューをさす
相変わらず主力はハンバーガー類だ

マクドナルドと同じく

「負けてないから変える必要無い」
うちの商品は世界一だから

むくれて鼻を鳴らしたロッテリアもきっと言葉とは裏腹にいくらかの敗北感もあるのだろう
無言でコーヒーを飲むのを見ながらぼんやりと呟いた

「商品の転換なんて戦略の一番基礎的なことだ」

こんな話をする為に自分はふらふらとやって来たんだろうか

「俺はお前みたいな愚かなこだわりも無い」

言いながら、記憶が蘇ってくる




価格戦争から離脱しようとメニューを変えた直後にロッテリアがやってきた
いつものことながら挙動不審なので捕まえると「偵察じゃない」とほざいたのでつまみ出したが
ごねたから結局は普通に客として対応してやった自分は偉いと思った

食べ終わってロッテリアが顔を上げようとした時一瞬脅えた
逃げた、と言われるかと思ったから
だけれど苦々しげなロッテリアの口から出た言葉は「旨い」だった
戦略的撤退だと言おうとしていた覚悟が拍子抜けした

逃げたと思っているのは多分、自分なのかもしれない



黙り込んでしまった自分に珍しくロッテリアは大人しい
居たたまれなくなって口を開く

だけど、
「悔しい、な」

確かにマクドナルドの影響は大きかった
それでも方向転換を決めたのは自分だ
なのに惑っている自分が、悔しい

少し唇を噛んでしまった


「うちのコーヒーは世界一だ」

いきなり叫んで立ち上がったロッテリアに驚いた
遂に狂ったのかと思ったが目の前に指をつきけられて馬鹿に出来なくなる

「だから、もう一杯出してやる」

宣言してL2つ、とレジに走って行った背中を呆気にとられて見ていると
振り向いて親指を立てられた

「今夜はとことん飲もうぜ」

コーヒーをかよ、と鼻で笑いながら少し落ち着いてしまって
この為に自分はやって来たのかもしれないと思った

ふぁ き ん !
という題名でいいんじゃないですか、これ。
えむの書くFKもろてりあも可愛すぎるぜ〜!

本当にありがとう!またお願いします。笑