私にとって非常に意味深いDVDを買った。& 観た。
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小林秀雄 (紀伊国屋書店評伝シリーズ≪学問と情熱≫第27巻)
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ドストエフスキー原作「
罪と罰」(クリジャーノフ監督 1970年 ソ連作品)
小林秀雄のDVDは写真をもとに彼の生き様や思想、軌跡をたどる。
私にとって芸術の様々な世界の道案内をしてくれたのは小林秀雄であった。
ゴッホ、モーツアルト、ドストエフスキーなど、その彼の書いた文章からどれだけ多くのことを学び啓示されたことだろう!
DVDを見ていて、当然まだ知らなかった映像(写真)もあり、また様々な彼の著書からの名文の抜粋など…。
私たちは、悪条件の中でもその真の芸術を悟る、といういうようなくだり。
つまり「悪条件」とは、絵画でいえば《
複製 》、文学では《
翻訳 》、音楽においては《
録音
》というもの。
そうか〜、ホントにそうだよな…。私達の脳は本物の臭いを嗅ぎ分けるということに関して先天的に内包されているのかも!?
《小林秀雄フリーク》にとっては非常に満足したものだった。
さて、
ドストエフスキーの映画「罪と罰」は…。
実はこの映画、前々からあるのは知っていたが、なかなか買わなかった。値段的にも高いせいもあるが、主な理由は映像(具体的視覚)によって自分の原書から受けるイメージを縛られたくなかったからだ。
観た感想。なかなか良かった。ある意味裏切られなかった。もちろん様々なシーンは自分のイメージと違うところもあったが、その映画の発しているところは原作から外れてはいない。
その当時(1970年頃)流行っていた「現代音楽」的なBGMも効果的かつ印象的だった。
それにしても、本当に実に
重く暗い世界だ…。しかしながら、それが現実、リアリズムというものなのだ。
日本のTV「バラエティ番組」が象徴するような≪
面白く楽しいその場しのぎの虚飾的世界≫を見慣れてしまった者にとっては引いて(退いて)しまうような不条理な現実と悲しみや葛藤で渦巻く世界。
主人公、ラスコーリニコフを中心に描く様々な人間模様。その様々な価値観の違いやその様々な言動や考え方。その表現のリアリティ。
途中、ソーニャが出てくるたびに何故か涙がこぼれそうになるのが自分としても不思議だった。
ところで、この映画は、ラスコーリニコフが自首するところ(本編の終わり)で終わっているが、実は、私がこの小説で一番感動的であると思うのは、「
エピローグ」なのだ。(これだけでもかなり長い!)
それで、この映画(DVD)を見終わった後、もう一度原作の「エピローグ」を読み直した。ラスコーリニコフが自首した後のことや、シベリアの流刑地での彼とソーニャのこと。やはり同じ場面で泣きました。ラスコーリニコフがやっと「愛」というものを見つけたこと。
本編では彼は自分の犯した罪を決して悔やんではいないのです。
極限の悲しみからの無償の愛…、ソーニャのそんな一途な姿、流刑地でしばらく経ったあと、
理屈ではないその愛を感じた時に、やっと彼はわかったのです。
私はまた何故かしら涙しました。
それにしても、何度読んでも素晴らしい作品です。
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長くなったついでに(!)、ミクシィ(
mixi )の「ドストエフスキー」というコミュニティに、最近私が投稿した文章を下記に記載します。(以下引用)
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僕はねぇ、10代とか20代にドストエフスキーのいろんな小説を読んで、そのドロドロとした人間社会や人間心理描写などにカルチャーショックを受けた。
でもね、正直言うと当時の私は、その主人公たち(ラスコーリニコフやスタヴローギンとか…)の葛藤とかニヒリズムみたいなものに憧れた!(みなさんそんなことはないですか?)
ニヒリズムとか無心論者とかは、時代的なものもあると思うけれど、なんだかカッコよかった、当時の私には…。
それから、30年程経ち、今自分が49歳になって思うことは…。
やっぱり自分は若かったのだ、青二才だったのだという事。
世の中はやはり決してそんなカッコいいもんでも何でもないという事、ドストエフスキーの中に出てくる様々な登場人物は自分の周りに一杯いるという事実。これが現実味を持ってわかりました。
主人公たちの葛藤や憂愁などがある意味魅力的なのは、その中に人間の持っている「不条理」が内包されているからではないでしょうか!?
例えば、ハリウッド映画を観るような「エンターテイメント」性や楽観主義は全然ない。この世の不条理を何故にと追求する「リアリズム」があるのみです。
世の中を懐疑主義(ペシミズム)的に見るのは合理主義からの派生だとも言えると私は思うのですが、しかし、ものごとを否定や悲観的立場から見るのは、より良き世界を目指したいという人間の一般的な希望から考えるとあまりよろしくない傾向だとも思います。
実は、昨今流行のポジティブ思考とか楽観主義…等々、私も実はけっこう支持します。というか、現世的に、或は世渡り的に考えると断然その方が良い、生き易い!
しかし、しかし…、俄然ドストエフスキーの残した小説(問いかけ)は私にとって青春の原点であり、またこの「世の中」や「人間」の不条理や謎を考える上での試金石になっています。
上記文 mixi コミュニティ[ドストエフスキー] トピック より
「罪と罰」の魅力
・2005年11月11日 江頭義之
投稿
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